MRとして10年以上働いてきて、ずっと不思議に思っていたことがあります。
同じように製品を説明しても、興味を持って話を聞いてくださる先生もいれば、何度訪問してもなかなか反応が変わらない先生もいる。
「自分の説明が悪いのだろうか?」
「もっと製品の特徴を伝えたほうがいいのだろうか?」
若手の頃は、そんなことばかり考えていました。
しかし、経験を重ねるなかで、少しずつ考え方が変わってきました。
先生によって、診療方針も、抱えている課題も、置かれている状況も違います。
だからこそ、自社製品の情報を一方的に伝えるだけでは、先生にとって本当に価値のある提案にはつながらないことがあります。
では、どうすれば先生の考えを理解し、よりよい対話につなげられるのでしょうか。
僕がそのヒントとして興味を持ったのが、営業手法の一つである「SPIN話法」です。
1. MRの営業活動に「SPIN話法」という考え方を取り入れる
SPIN話法は、ニール・ラッカムが提唱した、質問を通じて相手の課題やニーズを理解し、提案につなげていく営業手法です。
SPINは、次の4つの質問から構成されています。
- S:Situation(状況質問)
相手の現状や背景を理解するための質問。 - P:Problem(問題質問)
相手が抱えている問題や不満、課題を把握するための質問。 - I:Implication(示唆質問)
把握した問題が、ほかにどのような影響を及ぼしているのかを考えるための質問。 - N:Need-payoff(解決質問)
問題が解決された場合に、どのような価値があるのかを相手に考えてもらう質問。
こうして整理すると、質問を通じて相手を理解し、対話を深めていく流れが見えてきます。
ただし、僕はまだSPINを学んでいる途中です。すべてを理解し、使いこなせているわけではありません。
だからこそ、実際のMR活動にどう活かせるのかを、自分なりに考えていきたいと思っています。
2. 僕が特に興味を持った「示唆質問」
SPINのなかで、僕が特に興味を持ったのが「I:Implication(示唆質問)」です。
示唆質問は、相手が抱えている問題について、その問題がほかにどのような影響を及ぼすのかを考えるための質問です。
例えば、先生との会話のなかで、ある課題が見えてきたとします。
そのとき、「もしこの問題を放置したら、どんなリスクがありますか?」といった質問をすることも、一つの方法でしょう。
しかし、こうした質問ばかりを意識すると、相手の不安を必要以上に大きくしてしまったり、こちらが想定する答えに誘導してしまったりする可能性があります。
実際、僕自身も、メンバーが示唆質問に踏み込むことをためらう場面を見てきました。
深く質問することによって、先生にマイナスの影響を与えてしまうのではないか。不安を煽るような聞き方になってしまうのではないか。
そう考えると、なかなか一歩を踏み出せない。
その気持ちも、よく分かります。
ただ、僕はここで一つ大切にしたい考え方があります。
不安を煽ることと、問題の影響を一緒に考えることは違う。
僕は、示唆質問をこのように捉えています。
3. 示唆質問は「不安を煽る」のではなく「一緒に考える」
例えば、先生から「通院が途切れてしまう患者さんもいるんだよね」という話が出たとします。
ここで、単に問題の大きさやリスクを強調するのではなく、先生が話してくださった内容を起点に、その先にある影響について一緒に考えてみます。
例えば、こんな質問です。
「通院が途切れてしまうと、その後の患者さんの状態把握や治療方針の見直しを考える際にも、難しさが出てくることはありますか?」
この質問で大切なのは、必ず何か問題が起こると決めつけていないことです。
実際にどのような影響があるのかは、先生の状況や考え方によって異なります。
だからこそ、こちらが答えを決めつけるのではなく、先生の考えを聞きながら、一緒に整理していくことに意味があると思います。
もちろん、これはあくまで質問の一例です。示唆質問に、必ず使わなければならない決まった言い回しがあるわけではありません。
大切なのは、覚えたフレーズを機械的に使うことではなく、相手の話を理解したうえで、その先にある影響や課題について考えることです。
先生から「特に影響はない」と返ってくれば、その回答を尊重すればいい。想定していた影響がなければ、無理に問題を作り出す必要もありません。
一歩踏み込むとは、強く売り込むことではなく、相手の考えをより深く理解すること。
僕は、これが示唆質問を活用するうえで、大切な姿勢の一つだと考えています。
4. SPIN話法だけではない。MRとして成果を出すために考えたいこと
このブログでは、SPIN話法をはじめとする営業理論や、MRの現場で役立つ実践的な考え方を発信していきます。
例えば、
- 先生との会話を深める質問の作り方
- 一方的な製品説明から、相手の課題を理解する対話への変え方
- 卸さん(MS)との協業を通じて成果につなげる方法
- 先生との関係性に応じたコミュニケーションの考え方
こうした営業活動に直結するテーマは、僕自身の経験も交えながら掘り下げていきたいと思っています。
一方で、MRとして成果を出すために必要なのは、営業スキルだけではありません。
組織のなかで成果を出すには、どう動けばいいのか。
上司や同僚と、どのように協力関係を築けばいいのか。
リーダーシップとは何か。チームを動かすとは、どういうことなのか。
そして、会社という組織のなかで、どのように立ち回り、自分のキャリアを築いていくのか。
こうしたテーマについても、現場で経験してきたことや、自分なりに考えてきたことを発信していく予定です。
5. このブログで伝えていきたいこと
僕は、日系・外資系の製薬会社を経験し、MRとして10年以上働いてきました。
若い頃は、自社製品の特徴やスペックを一生懸命に説明することが、成果につながると考えていました。
しかし、実際の現場では、それだけではうまくいかないことも多くありました。
先生との関係構築、卸さんとの協業、質問の仕方、社内での立ち回り、周囲との協力関係。
さまざまな経験を通じて、少しずつ自分なりの考え方が形になってきました。
もちろん、今でも学ぶことはたくさんあります。
このブログでは、成功体験だけを並べるのではなく、営業理論を実際の現場でどう活用するか、組織のなかでどう成果を出すか、そして自分らしいキャリアをどう築いていくかを考えていきたいと思っています。
知識を知識のままで終わらせず、現場で使える考え方に変えていく。
それが、このブログで目指したいことです。
これから、MRの営業スキルから組織・リーダーシップ・キャリアまで、少しずつ発信していきます。
よろしくお願いします。
コメント